第88回日本衛生学会学術総会を、平成30年3月22〜24日の3日間、東京工科大学蒲田キャンパスを会場として開催いたします。会場は蒲田駅(JR京浜東北線)から徒歩すぐのところに位置し、東京駅、品川駅や羽田空港からのアクセスには大変便利です。本講座で担当する学術総会は、平成16年3月の稲葉裕名誉教授が会長を務めて以来、14年ぶりとなります。
今回のテーマは、「きわめよう衛生学:知行合一のすすめ」としました。「知行合一」は「知は行の始なり、行は知の成るなり」に由来します。これは明の王陽明が唱えた陽明学の根本思想で、知識と実践が不可分であるということを表した言葉です。衛生学をきわめるためには知と行の双方とその統合が必要であると考えた次第です。
衛生学は、人間・環境・健康の包括的理解を目指す社会医学の分野です。DNA、細胞、組織、あるいは臓器機能と人体(健康)機能維持とのダイナミックな関係を精緻な学術的手法で明らかにしながら、コミュニティー(社会集団)と個人との相互作用など、「社会的存在としての人間の健康とは何か」を研究対象としています。医学関連諸分野が細分化傾向にある今日、包括的学術としての衛生学は社会にとって重要な役割を担っているといえます。
最近、社会医学専門医制度が発足し、衛生学の社会的役割が高まっています。しかし、現状において、全国の医学部・医科大学では公衆衛生学との合併や名称変更等で衛生学講座が減少しています。最近10年間の全国の衛生学講座数は、平成15年度の30から、平成28年度の16へと、半数になってしまいました。衛生学のidentityのために、いま一度、これまでの学会の活動を振り返ると共に、今後の展望について熱く議論できればと考えています。今回は、本学会が一般社団法人となって最初の学術総会となります。充実した大会になりますよう皆様方のご支援を賜りますと共に、奮ってご発表、ご参加を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
平成29年6月吉日
第88回日本衛生学会学術総会
会長 横山 和仁
(順天堂大学医学部衛生学講座 教授)